「TANABEE」こと、田辺 直喜(たなべ なおき)フリーライター
某スポーツ専門誌の編集を経て、2021年10月からフリーライターに転身。「2ndQTな男」TANABEE(タナビー)として試打も行う。
ダイナミックロフト&スピンロフト
ダイナミックロフトとは、インパクト時の実質的ロフト。ボールの打出角に影響を与える計測項目。
スピンロフトとは、ダイナミックロフトから入射角を引いたもの。ボールのスピン量に影響を与える計測項目。
弾道の「高い」「低い」には、打ち出し角度とスピン量の両方が関係している。
一般的には【ハンドファースト=ロフト減】【ヘッドファースト=ロフト増】ですが…。
「アドレス時のシャフトの傾き(シャフトリーン)が大きいのか?少ないのか?によって、ハンドファースにするほどロフトは減りヘッドファーストになる程ロフトは増えます。僕も低い弾道を打つ時はハンドファーストを強め、少しでも打ち出し角とスピン量を減らす努力を行ってきました。
しかし、僕には全く合わなかったようで逆にスピン量が増えてしまったり高く打ち出されてしまったり。何か良い方法はないのか?探していたら、PGAツアー選手たちの1W時のアドレスを見てひらめいてしまいました。
それは、低い弾道を打つときに敢えてハンドファーストにせずにする方法。逆に高く打ち出したいときにはハンドファーストを大きくしてみると、インパクトがシビアなフェアウェイウッドでも狙った弾道がしっかり打てるようになりました!」(田辺)
ゴルファーには【反射】動作が存在する
アドレス時のクラブによって、人間は【誘導】と【反射】を起こす。インドアゴルフレンジKz亀戸店ヘッドティーチャーを務める筒康博はいう。
「ロボットのようにアドレス時と変わらない場所にグリップをインパクトできるなら、クラブ通りのフェース向きやロフトに【誘導】することができます。しかし、人間がクラブをスイングする場合はイメージしたインパクトから大きくズレたアドレスを感じると【反射】的にインパクトで修正する事ができてしまいます。
例えばハンドファースにし過ぎてしまって、逆にすくい打ってしまったり。フェースが閉じ過ぎているクラブをプッシュアウトさせてしまったり。目や身体から来る違和感やサインによって修正してしまう事があります」(筒)
低弾道:シャフトを傾ける動きを利用する
「敢えてアドレス時にハンドファーストにせず、むしろヘッドファースト?くらいの気持ちで構えます。こうすることで、【ロフトを立ててインパクトしたい】イメージを僕の場合は強く持てるようになり打ち出し角を抑えることに成功しました。
また、ヘッドを低いところから入れやすくなり入射角も抑える事ができました」(田辺)
高弾道:強めのハンドファーストで本能を引き出す
「高弾道を打ちたい場合は、逆に敢えてハンドファースト強めます。こうする事で、ロフトを増やして打ちたいゴルファーとしての本能を引き出せました。アドレスの影響で、ヘッドも鋭角にインパクトしやすくなり打ち出し角だけでなく入射角も増やす事ができました」(田辺)
本当に逆説的なのか?
弾道測定機器が一般に普及して以降、もっとレッスンもスイングも「インパクトのため」に行うべきと筒。
「TANABEEさんが発見した方法は、従来の方法を否定するわけではありません。しかし、必ずしも逆説的ではなく、あくまでも人間がクラブをスイングする事と飛球法則に則った方法の一つだと思います。
昔から日本では【インパクトはアドレスの再現】と言われていますが、現実にはアドレスの中に【どこまでインパクトを意識した要素を入れるか?】の方がはるかに重要です。
メジャー18勝を誇るJ・ニクラウス選手はアイアンで弾道を低く抑える時には、敢えてグリップ位置もボール位置と一緒に中に入れ【インパクトで前進させる】ためのアドレスを実行しているとレッスンしています。著書『GOLF MY WAY』のように、基本的な部分はもちろん重要ですが、【実践できる】自分の方法を見つけることもお勧めします」(筒)