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フェース全面溝の意外な効果は?〜FM505ウェッジ【筒康博のシン/カラクチレポート】vol.2

プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験し、大人のゴルフ選びWEBマガジン「FITTING」編集長を務める筒康博が独断と偏見で持論を語ります。

文:猿場トール/取材協力:インドアゴルフレンジKz亀戸店

フェース全面溝ウェッジ

ほんの数年前までは、フェース全面にスコアラインが入ったウェッジはニッチなモデルだったと記憶しています。

(もっと古いモデルはあるだろうが)近年の記憶としては、キャロウェイゴルフ「MD(マックダディ)」が有名。
現在では、テーラーメイド「HI TOE(ハイトゥ)」か、カスタムブランドEDEL GOLFの「SMS WEDGE」など、
なんとなくアメリカの匂いがする機能性ウェッジのイメージが強いのは気のせいでしょうか。

その機能は本当に実感できるのか?

フェース全面に溝があることで、「スピン性能が高い」「開いても捕まる」「柔らかい球になる」などの性能を目にする事も。
しかし、実際には『ダフリやトップが減少するのか?』『アプローチが優しくなるのか?』が現場のゴルファーの【声】ニーズではないか?

FM505ウェッジ【限定フェース全面スコアライン】

今回、限定モデルの「FM505」ウェッジをコース試打してみました。
テスターは、①女性ゴルファー②シニアゴルファーの二人。

テスター①女性ゴルファー

「せっかくなら可愛くして欲しい!」との要望で、急遽バックフェースに色入れをしました。

【アプローチの悩み】

普段はアイアンセットのAWとSWを使用しているのですが、オーバーが怖い時に高く打とうとするとダフったり弱すぎたり…なミスに繋がってしまいます。
ずっと「自分が下手なせい」と思っていましたが、今回は「打ちやすそう!」と感じたのでテストさせてもらう事になりました。
でも、こういうモデルって「上手い人が使うウェッジ」じゃないのですか?

また、男性陣からは「アプローチするならスピン系のツアーボールが良い」と言われます。
でも女子の場合はショット距離を稼がなくてはいけないので、ディスタンス(ソフト)ツーピースを使っています。

「安心感があってグリーン周りが怖くない」

いきなりコースでの、第一印象。
「構えてみると、意外とフェースが大きく見えますね。バックフェースからのイメージよりやさしく感じました。
あと、すごくボールが高く上がりそうです。これなら、いつもの打ち方でもきちんとスイング出来れば打てそうです」

早速ラウンドしながらグリーン周りで打ってみると、最初からナイスアプローチ。
「オーバーかな?と思ったら、上手く行きました!ふんわり上がるし簡単でビックリしました」

これは、ちょっと出来過ぎじゃないかと。

でも【事実】だから仕方がない。

ラウンド後、使ってみた感想を聞いてみると
「いつもはフェースの先端(トゥ)に当たって右に飛んだり弱くなったり、色々考えてミスが出たり。このウェッジは(先までスコアラインがあるので)あたり場所に神経質にならず振り幅に集中できる」とのこと。

勿論クラブだけでスイングが変わるわけではないので、ミスが全て無くなりはしなませんが【最初の成功イメージ】が功を奏してナイスアプローチを連発していました。

しかも、いつものツーピースボールなのにスピンもそこそこに。

彼女のエースウェッジに昇格する事になりました。

テスター②男性シニアゴルファー

テスター②男性シニアゴルファーの方は、名門ゴルフ倶楽部のメンバー。

【アプローチの悩み】
グリーン周りの近いところからスピンがかかったアプローチが打てない。
スイングを変えたり、フェースを開いて構えたりしているがしっくりこない。
そもそもアプローチの打ち方が間違っているのか?
ショットは高い弾道で止まるのに、ツアースピン系ボールでもグリーン周りが改善されない。なぜ?

「フェースに乗る」から、しっかり打てる

飛距離も充分出てスイングもプレースタイルも確立されているプレーヤー。

クラブも色々試すも「こういうフェースのウェッジは初めて」との事。

早速コースで使ってもらうと、
「とにかく振りやすい。シャフトが良いのか?ヘッドなのか?分からないけど使えそうな感じ」

 

砲台グリーンでもスピンがかかる

ラウンド中のアドバイス等は一切せず、ラウンド後に感想を伺いました。

「いつも砲台グリーンでピンが近い場合は、オーバーもショートも怖くなって両方のミスをイメージしてしまう傾向に。
でも、今日は何回か使って思ったよりショートはあってもオーバーはなかった。

打感も良かったし、何より『フェースに乗る』感覚が良かった」

確かに、20ヤードくらいの距離で薄いあたりでもスピンが入るので冬芝でも戦えていた印象がありました。
それに「オーバーもショートも怖い」から、「しっかり打てる安心感」は大きいでしょうね。

スピンを入れようとしてヒールギリギリの打点に意識がいかない分、むしろ綺麗にコンタクトできていた点も大きいのかなと思います。シャンクが怖いイメージも払拭しやすいです。

装着シャフト「KBS 610 WEDGE」がバッチリはまったのも要因の一つだったと思いますが。

見た目とイメージは性能のひとつ

PGAツアーレベルなら、硬いグリーンに止めるためのスピン性能は必要でしょう。

しかし多くの一般ゴルファーにとっては、構えて&打って【安心感】が得られるか?は非常に大きい要因であることを再確認しました。勿論「スピンがかかる!」イメージが湧いたなら良いですよね。
「道具がきっかけ」で変わる事もあると思います。

テスターの二人は、「思い込みをせず」使ってみたところ、思わぬ好結果が出たようです。
みなさんも、今使っているウェッジで上手くいかなければ「まずクラブを疑ってみる」もアリではないでしょうか。

「弘法は筆を選ばず」とはよく言いますが、(そもそも弘法大師に直接聴けませんが)悪い筆をわざわざ弘法大師が使って書物を書いていたとは思えません。

まさか、何年もほったらかしのウェッジを使いながらロストボールでラウンドして「俺はアプローチが下手」とか言ってないですよね!?

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